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その他の研究

平成5年度(1993年度)

(1) 「鮮度保持を要する北海道農産物の低コスト物流システムの確立」(提案研究、道立中央農試との共同研究)

概要

 都府県における野菜産地は後退傾向にあり、道産野菜の移出は、馬鈴しょ、玉ねぎ等の重量野菜に加えて葉茎菜や洋菜類の移出が増える見通しにある。葉茎菜や洋菜類の遠隔輸送には厳密な鮮度保持が必要であり、今後の野菜移出の拡大には低コストの保鮮物流システムの確立が急務となっている。本研究は、移出野菜の保鮮物流の実態とコスト規定要因を検討し、効率的な保鮮物流のあり方及び物流コスト低減の方向を明らかにしようとするものである。
 前年度の第1年次は、道産野菜の移出と物流形態の推移に関する統計資料の分析、保鮮物流の出荷、輸送業者に対するアンケート調査及び、予冷出荷に関する移出産地の事例調査等を実施した。今年度の第2年次は、補選物流の中でも重要な、JRクールコンテナの開発、利用の実態と課題及び、青果物、花きの「積合せ」保鮮輸送の実態と課題に関する調査検討を行った。

報告書等

※ 未登録

(2) 「道産野菜の競合産地情報システムの開発」(提案研究、道立中央農試との共同研究)

概要

 北海道の野菜の作付面積は、水田転作への野菜の導入拡大や畑作地帯での作付意欲の高まりなどから増加傾向にある。このような状況の中で、北海道では道外移出を主体とした出荷対応が求められており、全国の主要市場を対象とした市場動向分析はますます重要になってくる。そこで、この課題の目的は、青果物市況情報を活用した市場分析と競合産地の生産情報を活用した産地分析について検討し、それらを利活用できるシステムを開発することである。
 青果物市況情報を活用した市場分析については、分析に用いるデータはNAPASS(全国農産物市況分析支援システム)のデータベースから検索した市況データである。このデータは全国68の卸売市場で取引されている野菜53品目、果実65品目・品種の入荷量と価格を原データとしている。そこから検索してきたデータを市場別に集計して産地別の市場分荷の実態を検討するシステムを開発した。
 次に、生産情報の構築とその利活用方法については、農業生産に関わるデータソースとして現在一般利用者が利用できるデータベースには、農林統計協会でサービスを行っているRAIS(Rural and Agricultural Information System)があり、そこで利用できる産地情報は1)農業センサス2)生産農業所得統計3)作物統計4)国勢調査がある。産地情報として利用する場合、基本的には市町村レベルの統計情報が必要であり、4つの中で「農林業センサス」と「作物統計」についての情報が産地分析として利用できる。これらの情報の構築とその利用法について検討した結果、競合する府県産地の市町村レベルでの家族労働力や作付面積等の動向把握が可能であり、今後の道産野菜の移出拡大のための情報として有効である。

報告書等
カテゴリ
報告書
書誌名
道産野菜の競合産地情報システムの開発
管理番号
264-163
委託者
執筆者
松山 秀和
発行
1994.03
キーワード
北海道、東北地方、石狩管内、青森県百石町、野菜
備考

(3) 「農家経済の再建に関する調査・分析」(提案研究、北海道農業信用基金協会との共同研究)

概要

 地域農業の振興・活性化の基本は個別農家の経済状態の安定的発展にある。しかし、農業・農村をめぐる社会経済的環境が激しく揺れ動く中で、安定的発展の軌道を確立することは決して容易ではなく、深刻な債権問題に直面している農家・地域を見ることは稀ではない。地域振興計画の要となるこの重要問題について研究所として一定の蓄積をし、現地での指導体制のあり方を検討し、最終的に政策的な提言を目標とし、この課題を提案研究として取り組むこととした。
 これまでの農家経済の再建対策の制度は長期・低利の資金への借換が主体であり、その結果の回収不可能な資金を累積させた。本研究ではこの制度自体の改善策を明確にすることが最終目標となる。平成5~6年度にかけては既存の制度の運用面での妥当性を明確にすることに焦点を当てて、制度自体を検討する準備期間とした。
 したがって平成5年度は、道内でも負債問題が深刻な酪農専業地帯の某農協を対象に、負債対策指導を受けている農家自身の経営改善へ向けた努力の内容と、それらの農家に対する営農指導体制を調査検討の素材とした。今後、若干の補足調査をもとに報告書を取りまとめると同時に、営農指導体制の他農協との比較分析、効率の高い農家のモデル化のための事例把握、負債を累積させないための資金貸付対応のあり方などについて検討を進める予定である。

報告書等

※ 未登録

(4) 「農事組合法人の役割と課題」(診断事業、委託者:千歳市・千歳市農業協同組合)

概要

 千歳市根志越地区では、国営土地改良(総合かんがい排水)事業の導入(昭和61年)により長都沼が干拓され、167haの農地が造成された。市、市農業委員会、石狩南部地区普及所、市内農協などの関係各機関は、造成された農地を合理的に活用するため、農地を個人に売り渡すのではなく、法人を設立しそこで共同利用させる方針を打ち出した。このような経緯から、昭和63年農事組合法人ネシコシ生産組合が設立された。本事業は、ネシコシ生産組合の今後の経営設計を策定するために、コンサルテーションを実施していくものである。
 設立後6年を経過した時点で、ネシコシ生産組合が今後の経営方向を見直すに至った理由は、以下に述べるような問題点が発生したことによる。まず構成員農家の脱退があとをたたないことである。労働力に余裕のない高齢及び兼業農家は、出役がままならず脱退に向かっている。また労働力に余裕のある農家も、周辺の高齢及び兼業農家からの作業受託や農地借入部分のウエイトが大きくなり、法人への出役がままならず脱退の方向へ向かわざるを得ない状況となっている。次に指摘すべき問題点は、国営事業導入の条件として作付が義務付けられたハスカップの値崩れが激しく(産地間競争の影響)、新たな作付作物の導入が模索されていることである。さらには農地間の収量格差が激しく、構成員の士気が上がらないことも問題となっている。
 これら問題点と今後の経営のあり方の検討が大きな課題となっており、これに対処するために昨年度は11月に現地検討会を開催し、そこでの意見を基に法人の概況・問題点などを整理した。さらに12月には法人構成員がどのような経営志向を持っているか、法人に対してどのような意見を持っているのかといったことを認知するために、全構成員を対象にアンケート調査を実施した。その結果については現在分析中である。本年度は、構成員の実態にさらに接近するため、農家調査を実施する。これらの結果を基に、7月までには最終案を策定し報告する予定である。

報告書等

※ 未登録

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