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令和3年度(2021年度)

(1) 北海道農業協同組合史に関する調査研究 (設立30周年記念事業) 

概要

 本道は日本の食糧基地として独自の地位を占めており、その発展には、農協および連合会組織の強固な存在と果たしてきた役割は極めて大きいものがある。今日、日本の農協が組織・事業の改革を推進している中、本道の経験は改めて参照されるべきであり、またアジア等における農協組織の発展のためにも本道の農協の発展過程の整理は焦眉の課題となっている。
 そこで本調査研究においては、当研究所設立30周年記念事業の一環として、2025(令和7)年度刊行を目標に『北海道農業協同組合史』の執筆に取り組むこととした。この中で、本道における農協の組織・事業・経営の特徴を骨太に描き出すとともに、それに基づいた本道の農協の今後の展望を提言していく。
 昨年度は準備会議にて本書の構成を「第1部 通史編」・「第2部 組織・事業編」・「第3部 典型事例編」の3部とすることを定め、当研究所・坂下所長を座長に研究班を編成し、事前調査を開始した。本年度は計7回の月例研究会を開催し、具体的な記述内容について議論を重ねた。

報告書等

※ 未登録

(2) コロナ禍を契機とした新しい生活様式の構築―農村からの提言―  

概要

 本調査研究は、コロナ禍によって登場した「新しい生活様式」を受けて、研究機関としてどのような発信ができるかを問うものである。期間は2023(令和5)年度までの3カ年であり、本年度はその初年度にあたる。研究班は、佐藤信教授(北海学園大学)を主査に組織されている。また、これまでに2カ月に1回のペースで、計5回の研究班会議を開催してきた。
 研究会の柱として設定したのは以下の3点である。
 1つ目は、生活様式や隣接する諸概念の検討を通して、理論的な水準から「新しい生活様式」を提起することである。生活様式という概念は、広く人間を研究対象とする各学問分野において扱われてきた経緯がある。本研究では各分野での概念史に目を配りながら、巷間で用いられる「新しい生活様式」に対して研究者の立場から発信することを目指す。
 2つ目は、農村生活に関わる諸政策の検討を通じて、その到達点と課題を整理することである。現在は、国レベルによる「新しい農村政策の在り方に関する検討会」や、都道府県レベルにおける各種の取組みが進められており、これらの政策動向を整理したうえで、特に北海道からどのような発信が可能なのかを模索する。
 3つ目は、移住や新規就農などを例とした農村生活の実践から学ぶことである。「地域おこし協力隊」をはじめ、国や自治体レベルで行われている移住定住支援や新規就農支援によって、農村への人の流れを生む制度的基盤は日々整えられている。農村への移住者を含め、農村で生活する「実践者」への接近、あるいは当事者による報告を蓄積することで、農村生活の実相を多角的に検討する。

報告書等

※ 未登録

(3) 持続可能な農村づくりにおける結婚支援事業の意義に関する調査研究

概要

 本調査研究は、地域に根付く人、農業に従事する人を確保するための有効策として結婚支援を位置付け、そこに対する行政やJAの取組みの意義を改めて考えることを目指したものである。そして、そのことを通して、結婚の当事者を含め、地域に関わる様々な方々にとってより良い結婚支援のあり方とは何かを問おうとするものである。
 これまでの研究を引き継ぐ形で、本年度は令和2年度JA研究奨励助成(日本協同組合連携機構、全国農業協同組合中央会)のもと、JAならびに自治体が主導する結婚支援に注目した。調査にご協力頂いたのは、JAいわて中央、JAいわて花巻、JA小松市、JAしまね、JA秋田中央会、(一社)あきた結婚支援センター、JA長野中央会、(株)農協観光、JA愛知中央会、JA愛知東、えひめ結婚支援センター、JA宮崎中央会である。担当者の皆様には、ご多忙中にもかかわらず懇切丁寧にご対応頂いた。
 なお、この他に当初予定していた調査候補のうち、いくつかのJAでは、主にコロナ禍を背景に事業を再検討中である、または、事業を大幅に縮小あるいは廃止したとのことから、具体的な取組みについてお話を伺うことがかなわなかった。
 調査を通して、以下のことが明らかになった。
 1点目は、JAはこれまでに、交流イベントやセミナー開催を通して、組合員子弟や地域の未婚者の結婚を支援してきたという点である。その形態は、JAいわて中央のように、営農関連、生活関連の部署を窓口にJA独自に実施する場合のほか、JA愛知東のように地域の市町村と一体となって行う場合もあった。2者ともに結婚支援の意義を強く認め、長引くコロナ禍にもかかわらず堅実に事業を続けているJAであった。
 2点目は、ここ十数年の間に、都道府県主導による結婚支援が拡充されている点である。多くは少子化対策の一環として、結婚支援のためのホームページ開設、各種イベント情報の取りまとめ、提供、セミナー開催等を通して、市町村や各団体の結婚支援をサポートしている。なかには、愛媛県のように、県から委託を受けた組織自らが支援を行う場合や、さらには、秋田県のように県下の関係機関を取りまとめ、独立した組織を作り上げる例もある。2者ともに最新のテクノロジーを積極的に取り入れ、結婚支援の可能性を押し広げている。
 3点目は、連合会・全国組織レベルでは、各地の青壮年部あるいは青年組織協議会主催の婚活イベントの後援や、旅行業の一環として支援が行われてきた点である。近年は、そこからさらに踏み込んで、(株)農協観光内部に結婚相談所の設置が検討され始めている。
 本研究では以上を踏まえ、JAグループによる結婚支援事業の今後を考える際のポイントを指摘した。生産面に比べて結婚支援はどうしても「後回し」になりやすい分野ではある。しかし、地域への定住、そして地域の維持、振興に大きく関係する結婚には、これからも注目していく必要がある。

 

報告書等

※ 未登録

(4) 学校給食向け地場産青果物の集出荷体制に関する調査研究 

概要

 本調査研究は、地産地消を学校給食において進めていく中で重要となる産地の取り組みに着目し、集出荷体制についてを報告書にとりまとめた。
 当初予定していた調査候補先のうち、いくつかはCOVID-19の感染防止のため実施できなかった。緊急事態宣言、まん延防止等重点措置がとられていない期間、または感染防止に配慮して頂きながら調査にご協力頂いた北海道内で学校給食向けに食材を供給している4農協の取り組み事例が中心の報告となっている。
 学校給食向け地場産青果物の集出荷体制を明らかにするために、まず北海道における学校給食の地場産物の使用状況を概観し、生産状況について整理を行う。その上で、出荷状況(期間・数量・価格)とその調整から農協と卸売業者の役割について分析し、考察する。
 結果は以下の通りである。
 第一に、北海道の学校給食における地場産使用率(青果物以外も含む)は、10年に渡り40%以上を維持しており、北海道内各地での積極的な取り組みがあることがわかった。
 第二に、産地では学校給食向けを最優先に考え、対応しているところもあり、学校・学校給食会が求める品目・規格・品質などの条件に見合った出荷が行われていた。生産の維持継続を可能にするために、農協では毎年試験品種の栽培を行い、生産に対する支援・協力を行っていた。
 第三に、学校と農協とが直接交渉等を行う場合には、学校または担当している学校栄養士または栄養教諭の声が届くため、生産計画を立てる際に組合員と農協とで協力し品目・数量について相談に乗ることができていた。しかし、地場産物の使用に積極的な要望に対して十分に応えることができていないと農協が課題として抱えていた。一方、学校給食会・農協・卸売業者が協議を行う場合には、学校給食会が学校の要望を伝える調整機関となり、産地である農協と流通と担う卸売業者と共に取り組んでいた。 
 以上のことから、学校給食向け地場産青果物の集出荷体制は、学校給食会が産地を、生産者・農協が品目の選定を行い、農協・卸売業者が期間・規格・品質の調整し、農協と学校または農協と卸売業者と学校給食会の間で数量と価格を決定することで形成されていたと言える。

報告書等
カテゴリ
報告書
書誌名
学校給食向け地場産青果物の集出荷体制に関する調査研究/令和3年度 北海道地域農業研究所自主研究
管理番号
717-486
委託者
執筆者
脇谷 祐子
発行
2022.03
キーワード
北海道、全般
備考
PDF未公開

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